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広島で家族を守る家-自然災害と気候を生き抜く、これからの住まいづくり
2026年06月21日
広島で家族を守る家
自然災害と気候を生き抜く、これからの住まいづくり
こんにちは。広島で注文住宅やリフォームを検討されている皆さま、住まいづくりにおいて一番大切にしたいことは何でしょうか。「おしゃれなデザイン」「広いリビング」「充実した収納」など、叶えたい理想はたくさんあると思います。
しかし、それらすべての土台となる最も重要な要素、それは「家族の命と健康を守る」ということです。
近年、日本全国で大規模な地震や記録的な豪雨による災害が頻発しています。ここ広島も例外ではありません。過去の豪雨災害の記憶や、今後懸念される南海トラフ巨大地震への備えなど、広島で家を建てる私たちは、他の地域以上に「災害に強い家」を真剣に考える必要があります。
今回は、「広島で家族を守る家」をテーマに、災害リスクの現実から、家づくりで必ず取り入れるべき性能・設備、そして家族が健康に暮らすためのポイントまでを徹底的に解説します。これから広島でマイホームを建てる方は、ぜひ最後までお読みいただき、本当に安心できる住まいの基準を見つけてください。
本ブログをわかりやすく解説した資料を作成しました。無料でダウンロードできますので、参考にしてくださいね。
1. 広島という土地のリスクを知る
なぜ今「守る家」が必要なのか?
広島で家を建てる際、まず目を向けなければならないのが、この地域特有の自然災害リスクです。広島県は海と山に囲まれた美しい景観を持つ反面、地形特有の脆弱性を抱えています。
① 全国最多の「土砂災害警戒区域」
広島県は、土砂災害警戒区域の数が全国で最も多い県として知られています。県内の多くの住宅地が山の斜面やその近くに開発されており、ひとたび記録的な豪雨が降ると、大規模な土砂崩れや土石流が発生するリスクがあります。
② 南海トラフ巨大地震への備え
今後30年以内の発生確率が70〜80%と言われている南海トラフ巨大地震。広島県でも激しい揺れ(震度6弱〜6強など)や、瀬戸内海沿岸部での津波、そして臨海部での液状化現象が予測されています。地震そのものに耐えるだけでなく、その後の生活を維持できる住まいが求められます。
③ 瀬戸内特有の「夏の猛暑」と「冬の冷え込み」
災害だけでなく、日々の「気候」からも家族を守る必要があります。瀬戸内海気候は温暖と言われますが、近年の温暖化により広島市街地などでは夏の酷暑が厳しくなっています。一方で、北部や中山間地域では冬に厳しい寒さと積雪に見舞われます。この寒暖差は、家族の健康(ヒートショックなど)を脅かす隠れたリスクです。
2. 構造と性能で守る
地震と台風にびくともしない強固な家
家族を守る家づくりの第一歩は、建物の「骨組み」と「基礎」を徹底的に強くすることです。見た目のデザインに予算をかける前に、以下の3つの基準をクリアしているか確認しましょう。
① 「耐震等級3」+「制震」が必須の時代
日本の建築基準法で定められている最低限の耐震基準(耐震等級1)は、「震度6強〜7の揺れで、1回目は倒壊しない(命は守る)」というレベルです。しかし、近年の大地震では、震度7クラスの激しい揺れが2回、3回と連続して発生し、1回目を耐えた家が2回目で倒壊するケースが目立ちました。
広島で建てるなら、最高ランクである「耐震等級3」(耐震等級1の1.5倍の強さ)を標準仕様とすべきです。さらに、揺れを吸収して建物のダメージを抑える「制震ダンパー(制震装置)」を組み合わせることで、繰り返しの余震からも家と家族を守ることができます。
② 水害・浸水から守る「基礎」の設計
ハザードマップで浸水リスクが懸念されるエリアに家を建てる場合、基礎の高さ(設計GL)を通常よりも高く設定する「高基礎」の導入を検討しましょう。
また、床下浸水が発生した場合でも、水が引いた後の床下掃除や乾燥がしやすい構造にしておくことで、災害後の早期復旧が可能になります。
③ 台風・強風に耐える屋根と窓
瀬戸内海沿岸部は、台風の通り道になることも少なくありません。強風による飛来物で窓ガラスが割れると、室内に風が吹き込み、最悪の場合は屋根が吹き飛ぶ原因になります。
全ての窓に「シャッター」や「雨戸」を設置するか、割れても破片が飛び散りにくい「防災複層ガラス(合わせガラス)」を採用することが有効です。
3. 間取りと暮らしで守る
災害時でも「在宅避難」ができる家
災害が発生した際、必ずしも避難所に行けるとは限りません。感染症のリスクやプライバシーの確保、ペットの有無などを考えると、最も安全な避難所は「自宅」であるべきです。これを「在宅避難」と呼びます。
災害後も、家族が住み慣れた家で普段通りに近い生活を送るための間取りと設備の工夫をご紹介します。
① 1〜2週間の電力を確保する「太陽光発電+蓄電池」
大地震や台風によって停電が長期化した場合でも、エネルギーを自給自足できる仕組みが命綱になります。
● 太陽光発電システム:日中の電力を賄う
● 家庭用蓄電池:昼間に作った電気を蓄え、夜間に使う
この2つを連携させることで、冷蔵庫の中身を腐らせず、スマホの充電を絶やさず、夏のエアコンや冬の暖房を作動させ続けることができます。特にスマートフォンの充電は、情報収集や家族の安否確認に直結するため、非常に重要です。
② 水の確保:エコキュートの活用と雨水タンク
電気の次に困るのが「断水」です。オール電化住宅でおなじみの「エコキュート(電気温水器)」は、常にタンク内に数百リットルの湯水を貯めています。断水時には、このタンクから非常用水(生活用水)を取り出すことができるため、トイレの洗浄水などに活用できます。また、庭に雨水タンクを設置しておけば、断水時の貴重な水資源になります。
③ 暮らしに溶け込む「ローリングストック」用パントリー
家族4人が1週間生き延びるためには、かなりの量の食料や水、日用品の備蓄が必要です。これらを奥深くにしまい込むのではなく、キッチンの近くに広めの「パントリー(食品庫)」を設け、日常的に消費しながら買い足す「ローリングストック」を実践できる間取りにしましょう。日常の使いやすさが、そのまま非常時の安心につながります。
4. 日常の健康を守る
高気密・高断熱がもたらす「健やかな暮らし」
「家族を守る」という意味は、地震や台風といった突発的な災害だけを指すのではありません。毎日過ごす家だからこそ、病気や事故のリスクから家族を守る「健康性能」が不可欠です。
① 「ヒートショック」という最大の家庭内リスク
日本国内において、交通事故で亡くなる方よりも、家の中の温度差が原因で起こる「ヒートショック(入浴時の心筋梗塞や脳卒中など)」で亡くなる方の方が多いという現実をご存知でしょうか。
特に冬場、暖かいリビングから冷え切った脱衣所・浴室へ移動した際の急激な血圧変化が原因です。これを防ぐ唯一の方法が、家全体の温度を一定に保つ「高気密・高断熱化」です。
② 目指すべきは「HEAT20 G2レベル(断熱等級6)」以上
広島の冬を暖かく、夏を涼しく過ごすためには、国の省エネ基準を大きく上回る断熱性能(UA値)が必要です。民間団体が提唱する「HEAT20 G2(断熱等級6相当)」以上の性能を持つ家であれば、真冬でもエアコン1〜2台で家じゅうがほんのり暖かく、結露の発生も防ぐことができます。結露がなくなれば、アレルギーの原因となるカビやダニの発生を抑制でき、子供たちの健康を守ることにもつながります。
③ 計画換気システムで空気を守る
近年の住宅は気密性が高いため、室内の空気がこもりがちです。高気密な家だからこそ、24時間しっかりと機能する「計画換気システム(第一種換気システムなど)」を導入し、PM2.5や花粉、ウイルスをカットしたきれいな空気を常に室内に循環させることが重要です。
5. 広島で「家族を守る家」を建築
3つのステップをわかりやすく
ここまで読まれて、「よし、災害と健康に強い家を建てよう!」と思われた方に、具体的なアクションプランを3つお伝えします。
ステップ1:
土地選びは「ハザードマップ」の確認から
どんなに頑丈な家を建てても、土砂崩れや大規模な洪水に正面から巻き込まれてはひとたまりもありません。広島で土地を探す際は、必ず広島県や各自治体が公開している「防災ハザードマップ」を確認してください。土砂災害警戒区域(イエローゾーン・レッドゾーン)や、河川の氾濫による浸水想定区域を事前に把握し、可能な限りリスクの低い土地を選ぶことが最大の防御です。
ステップ2:
住宅会社に「具体的な数値」を質問する
ハウスメーカーや地元の工務店を選ぶ際は、「地震に強いですよ」「暖かいですよ」という営業マンの感覚的な言葉を鵜呑みにしてはいけません。必ず以下の「具体的な数値」を確認してください。
● 「こちらの会社では、全棟で耐震等級3(許容応力度計算によるもの)を取得していますか?」
● 「このプランのUA値(断熱性能)とC値(気密性能)の実測値はいくつですか?」
これらの質問に明確な数字で答えられない、または数値を出すのを嫌がる会社は、家族を守る家づくりにおいてパートナーとして選ぶべきではありません。
ステップ3:
ライフラインの維持コスト(LCC)を計算する
初期費用(建築コスト)を抑えるために、断熱材を薄くしたり、太陽光発電を諦めたりするのは長期的に見てマイナスです。性能の低い家は、毎月の電気代が高騰し、将来的なメンテナンス費用もかさみます。家づくりは「建てるときの費用」だけでなく、30年、50年と暮らす中での「生涯コスト(ライフサイクルコスト:LCC)」で損得を判断しましょう。
【エリア別】広島市・東広島市・呉市の災害特性と対策
広島県内でも、住むエリアによって直面する自然災害のリスクは大きく異なります。ここでは、家を建てる前に絶対に知っておくべき3つの都市の特性を解説します。
1. 広島市:
太田川の「水害リスク」と平野部の「液状化」
広島市は、太田川がもたらした広大な三角州(デルタ地帯)に発展した街です。そのため、最も警戒すべきは「河川の氾濫による洪水・浸水」です。
● 水害対策:ハザードマップで浸水深(水がどこまで浸かるか)を確認し、基礎を高くする「高基礎」の採用や、2階にリビング・寝室を配置する間取りの工夫が有効です。
● 液状化対策:臨海部や埋立地、かつて水田や川だった場所は、南海トラフ巨大地震の際に「液状化」が発生する恐れがあります。家を建てる前の入念な地盤調査と、適切な「地盤改良工事」が必須です。
● 土砂災害:背後に山が迫る安佐南区や安佐北区、西区などの新興住宅地では、全国屈指の土砂災害警戒区域が存在します。土地選びの段階でのリスク回避が最優先となります。
2. 東広島市:
瀬戸内特有の「酷暑」と内陸の「厳冬・結露」
西条盆地を中心とする東広島市は、標高が高いため広島市内に比べて気候が大きく異なります。災害リスクとしては土砂災害や一部河川の氾濫がありますが、それ以上に日々の「気候ストレス」から家族を守る視点が重要です。
● 寒暖差対策:夏は盆地特有の強烈な暑さに見舞われ、冬は氷点下まで冷え込む日が多く、積雪も珍しくありません。
● 結露・健康対策:冬の厳しい寒さは、室内の結露を引き起こし、カビ・ダニの原因になります。また、ヒートショックのリスクも県内で特に高いエリアと言えます。広島市内基準の断熱性では足りず、ワンランク上の「高気密・高断熱(断熱等級6〜7)」が標準仕様となるエリアです。
3. 呉市:
斜面地ゆえの「土砂災害リスク」と海沿いの「塩害・強風」
呉市は、海と山が非常に近い坂の街です。平地が少ないため、多くの住宅が山の斜面を切り開いた場所に建っています。
● 土砂災害対策:2018年の西日本豪雨でも甚大な被害が出た通り、呉市での家づくりは「土砂災害への備え」が最重要命題です。崖の近くや警戒区域内(特にレッドゾーン)での建築は極めてリスクが高いため、避けるのが賢明です。どうしても建てる場合は、万が一の土砂の流入に耐えられるRC(鉄筋コンクリート)製の擁壁や基礎を検討する必要があります。
● 塩害・台風対策:沿岸部では、台風時の猛烈な強風と、潮風による「塩害」への対策が必要です。外壁材や屋根材、サッシ(窓枠)には、サビや腐食に強い高耐久な素材(ガルバリウム鋼板の仕様確認や塩害対応エアコンなど)を選ぶ必要があります。
【工法比較】「一般的な木造」vs「テクノストラクチャー工法」どちらが守れるか?
家族の命を託す「構造」選び。今回は、日本の伝統的な「一般的な木造(在来軸組工法)」と、パナソニックが開発した第三の工法「テクノストラクチャー工法」を、耐久性・耐震性の観点から徹底比較します。
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比較項目 |
一般的な木造(在来軸組工法) |
テクノストラクチャー工法 |
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梁(はり)の素材 |
木材(経年変化でたわむ可能性あり) |
複合梁「テクノビーム」(鉄と木のハイブリッド) |
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耐震性能の根拠 |
壁量計算(簡易的な計算が多い) |
全棟で構造計算(災害シミュレーション)を実施 |
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空間の自由度 |
柱や壁が多くなりがち(広い空間は苦手) |
柱のない大空間(最大スパン6m、注文仕様で8m)が可能 |
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コスト |
比較的安価に抑えやすい |
木造に比べると初期費用(建材費)が上がる |
一般的な木造(在来軸組工法)の特徴
コストと自由度のバランス
日本の家づくりの主流であり、多くの地元の工務店が手得意とする工法です。
● 予算に合わせた家づくりがしやすく、将来のリフォーム(間取り変更)も比較的容易です。木の温かみや調湿効果を活かせるのも魅力です。
● 守る家としての注意点:木材は天然素材ゆえに、乾燥や経年変化によってわずかに「たわみ(変形)」が生じます。また、法律上、2階建て以下の木造住宅は詳細な「構造計算(許容応力度計算)」が義務付けられておらず、簡易的な「壁量計算」だけで建てられているケースが多いため、依頼する会社が「耐震等級3(許容応力度計算によるもの)」を確実に実施しているか確認する必要があります。
テクノストラクチャー工法の特徴
木造の優しさと鉄骨の強さを融合
「木造住宅に、鉄骨の強さを」というコンセプトで生まれた、パナソニック独自の先進工法です。
メリット①:
たわみの少ない「テクノビーム」
家の重みを支える「梁(はり)」の構造に、軽量H形鋼を木材で挟み込んだ複合梁を採用しています。木材の弱点である「経年変化によるたわみ」を完全に克服しているため、大地震が来ても梁が変形せず、家が歪みません。
メリット②:
全棟で行われる「388項目の構造計算」
テクノストラクチャーの一番の強みは、一棟ごとにパナソニックの専門部隊が厳しい「構造計算」を行う点です。多方向からの地震の揺れ、台風の風圧、さらには東広島市のようなエリアを想定した「積雪の重み」まで、388項目ものシミュレーションをパソコン上で実施し、合格した家しか建てられません。法律の基準を遥かに超えた安心感が数値で証明されます。
メリット③:
柱のない大空間と「将来の可変性」
梁が圧倒的に強いため、一般的な木造では不可能な「柱のない広いリビング」や「並列2台分のビルトインガレージ」が実現できます。さらに、間仕切り壁を減らせるため、将来子供が独立した後の間取り変更リフォームも非常にスムーズです。
広島で家族を守るならどちらを選ぶべき?
予算を最優先しつつ、信頼できる工務店で「耐震等級3(構造計算あり)」を担保できるなら、一般的な木造でも十分強い家は建ちます。
しかし、「広島市内の液状化リスク地域」「呉市の土砂災害警戒区域の近く」など、より過酷な災害リスクに備えたい場合や、「大空間のリビングを諦めずに、最高峰の耐震性を数値で証明してほしい」という場合は、一棟ごとに厳密な災害シミュレーションを行う「テクノストラクチャー工法」が、家族を守るシェルターとして非常に強力な選択肢になります。
家は、単に「寝泊まりする場所」や「おしゃれな空間」ではありません。外の厳しい自然環境や、いつ起こるかわからない災害から、大切な家族の命を無条件で守り抜く「最強のシェルター」であるべきです。
広島という土地で、大切なパートナーや子供たちと長く安心して暮らしていくために。
これから家づくりを始める皆さまには、ぜひデザインや価格だけでなく、「この家は本当に家族を守れるだろうか?」という視点を常に持って、最高の住まいづくりを進めていただきたいと思います。
当ブログでは、広島の気候風土に合わせた具体的な設計手法や、お勧めの建材・設備など、これからも安心安全な家づくりに役立つ情報を発信していきます。気になることがあれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。
皆さまの家づくりが、家族の明るい未来を守る第一歩となることを心から応援しています!
本ブログの筆者紹介
私(八塚年哉)は、これまで広島で建築設計士として約40年業務に携わってきました。
建築関係の学校を卒業後、
● 20代:建築設計事務所に勤務(主にRC造・鉄骨造の設計・監理)
● 30代前半:非住宅の設計に従事(分譲マンション・店舗の設計)
● 30代後半:土木設計に従事(道路・護岸・砂防ダム等の設計)
● 40代以降:日興ホームにて木造住宅の設計に従事(木造住宅・店舗事務所等の非住宅の設計・監理)
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